著者:東 芙美子|原作)雲田はるこ
発行日:2018年10月
発行所:講談社
|小説|昭和元禄 落語心中』読書感想文
この物語を知ったのは岡田将生くん主演NHKのドラマ。
再放送でたまたま観て、ハマってしまった作品。
原作はマンガであるが、この小説はNHKドラマの脚本を小説にしたもの。

写真:NHKホームページ「ドラマ昭和元禄落語心中」より出典
寄席での落語視聴は一度だけ。
僕が落語を寄席で聞いたのは一度だけ。
2016年か17年、妻と一緒に行った、三遊亭小遊三さんの独演会。
これだけである。
前座から始まるんだけど、落語の話術が全然違うのが素人でもよくわかる。
演目は全く知らない。しかし、小遊三さんの話を聞くうちに、頭の中で自然と情景がイメージ化される、凄さがある。そして、大笑いさせられる。
これが真打、ベテランの技術なんだろう。
「落語って、面白いんだ」と感じたのもこの時から。
なぜ、ストーリーを描くのに落語だったのだろうか?
「落語心中」では昭和戦前から戦時中、そして戦後。
2人の若き落語家を中心とした、恋愛、人間関係のヒューマンドラマになる。
落語の世界がなんとなく分かり、ヒューマンドラマとしても面白い。
原作の雲田はるこ氏は、なぜこのストーリーを描くのに落語としたのだろうか、、、と考えてしまう。
人間関係やラブストーリーを描くにあたり落語でなくても良いだろう。
おそらく、作者としては落語でなくてはいけない理由があったに違いない。
落語には、人間関係、夫婦、恋愛、様々な演目がある。
落語を中心として、ストーリーも落語の演目のように描きたかったのかもしれない。
たしかに男女関係のもつれ、それにまつわるストーリーは落語の演目のようでもある。
それゆえ、落語を聞くように、この原作を読むと更に面白くなるのかもしれない。
「昭和元禄落語心中」
僕の大好きな一冊となった。

2021年4月5日ジャーナル
あっという間に桜の季節も終わった。昨年同様に感動の薄い桜の季節であったように思う。
季節感が普通に感じられる日が早く戻ることを願う。
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