著者:安部 龍太郎氏
発行:2013年11月
発行所:集英社
ジャンル:小説(歴史)
読書期間:2020年10月・約1ヶ月
『風の如く 水の如く』感想文
黒田官兵衛(如水)に興味があり、この本を手にした。
結果として全て読み終わるまで約1ヶ月掛かってしまった。
僕の本の読み方として3冊程の本を平行して読むことが多い。難しい本や読みにくい本に当たるとなかなか本が入れ替わらない。この本がその一つであり、僕にとっては少し読みにくい本であった。
この小説は「黒田如水が関ケ原合戦を利用しての天下取りへの策略」これを関ケ原合戦後、如水が本当に天下取りの策略があったのかを、関係しているだろうという人達に追及していくストーリーになる。
ストーリー構成
ストーリーの構成としては「永遠の0」のような感じ。「永遠の0」では特攻隊員のおじいちゃんがどんな人物であったのかを、戦時中おじいちゃんと関わった人から話を聞き、そして戦時中のストーリーが展開していく。この小説では徳川家の本多正純が如水の天下取りの野望に関わった人を追及しながら、関ケ原合戦前の経緯が書かれている。この展開が僕には少し読みにくかった。それは2つの理由がある。
2つの読みにくい点
・ひとつはストーリー展開の入れ替わり。
合戦後の論功行賞のストーリーが、パタッと合戦前の石田三成にまつわる展開になったりする。
このストーリーの切り替えが僕にとって戸惑いとなった。
・2つめは登場人物の呼称。
例えば石田三成であれば、、僕としては「三成」で通してほしい。それがストーリー中の会話にて「治部の思い取りにはさせん」というな表現が出てくる。「治部」って何? という具合になる。
ようは「石田治部」とも呼ぶらしく「治部」とは役職らしい。会社に例えると「部長」とか「課長」と呼ぶのと同じなんだと思う。治部に限らず「甲斐守」とか大名が納めている国の地名で表現されたりする。誰だっけ「甲斐守?」という具合になる。
あとがきを先に読むとよい
僕は後半までさしかかった時、一度読むの止めた。それはくこの小説の読み方が何となく分かってきたからである。そして、あとがきを先に読み「この小説の読み方」を学び、最初から読むことにした。
父と息子の関係にフォーカス
この小説は「如水の天下取りの策略」が主題だけど、あとがきにあるように「父と息子」これにフォーカスすると時代小説として更に面白く読めるようになった。
僕には息子はいないが「父親と息子の関係」って難しいと思う。僕も親父に負けたくないという気持ちが強かった。黒田長政も如水という大きな存在に対抗心みたいものがあったのだろう。
また、自分の親父は大きな存在としてあるんだけど、どこか認めたくないような気持ちもあるように思う。血の繋がりのある親父よりも、他人様の方が大きい存在のように思う時があるのかもしれない
黒田長政で言えば、如水よりも家康。それゆえに如水の天下取りの策略にも、あまり前向きな気持ちになれなかったように思う。
家康は長政を自分に忠実に動くように上手に操作したんだろうね。
やはり家康は戦国大名の中では一枚も二枚も上手だったんだろう。
『風の如く 水の如く』あとがきを先に読んでから読み始めとさらに面白く読めると思う。

コメント