【55歳の読書感想文】八木沢 里志)純喫茶トルンカ

【55歳の読書感想文】八木沢 里志)純喫茶トルンカ読書感想文

著者:八木沢 里志氏
発行:2013年11月
発行所:徳間書店
ジャンル:小説(恋愛)
読書期間:(kindle)2020年10月20日~21日

『純喫茶トルンカ』あらすじ

この小説は、東京都台東区谷中、昔ながらの喫茶店(トルンカ)が舞台になっている。
主人公はトルンカのマスターとその娘、店員、そして近所の人、トルンカのお客さんになる。
内容はこの人たちにまつわる3つの恋愛物語
「新しい出会い(店員とお客:若者の恋)」「過ぎ去った恋(おさっさんと昔の彼女+その娘」「初恋(マスターの娘とその姉の元彼氏」この3つになる。
3つのストーリーの共通点は「過去との繋がり」
「新しい出会い」では幼少期の辛い過去が結ぶ恋
「過ぎ去った恋」では別れた彼女の姿を追い、その娘とダブらせる。
「初恋」では亡くなった姉の彼氏に、好きだった姉の姿を重ね恋心を抱く。

*各エピソードのタイトルは僕が勝手に付けたものである。小説中にはきちんとしたタイトルがついている。

『純喫茶トルンカ』感想文

★★★★☆
時代小説のように情景描写が細かく書かれていて、自分なりにトルンカの店内様子や街の情景を具体化しやすく、文章に溶け込み読み進めることができる小説であったと思う。
恋愛にまつわるエピソードには、人の想いが長~く引きずられている。
「新しい出会い」ではある女性が幼少期の思いをずぅ~と抱き続け、ひとりの青年を探し求める。
「過ぎ去った恋」では過去に別れた女性を再び想い、その女性の娘に彼女を重ね合わせる。
「初恋」では亡くなった姉の姿を追い続け、前に進めずにいる女の子。

しかし、「新しい出会い」では現実的に考えると幼少期の思いなど追い続けることはないだろうし、「過ぎ去った恋」では好きだった彼女の娘を探し求めるなど、いい年したおっさんがやることではない。小説であるがゆえの恋愛ストーリーになる。
しかし、現実離れした恋愛ではあるがそれぞれのストーリーに感情移入して読むことができる。僕としては満足となる面白い小説であった。

ひとつの注文

この小説で注文を付けたい内容がひとつある。それは「過ぎ去った恋」での女性の恋愛感情への描き方である。このストーリーでは男が過去の女性に想い馳せる。それと同様に女性も同じような感情があるように書かれている。男は過去の女性を感情的にいつまでも考えることがあるように思うが、女性はいつまでも過去に囚われることはないように思う。まして別れた彼氏の後に結婚して子どもを持った女性が、過去の彼氏を思い出して涙することはないと思う。これには「女性にも自分と同じ気持ちでいてほしい」という思いにほかならないだろう。男はいつまでもネチネチするが、女性はスパッとしているんじゃないかなぁ、、、どうだろう?

僕の好きなエピソード

前述で女性の過去の恋愛感情について注文を付けたが、もっとも感情移入できるのは「過ぎ去った恋」であった。僕がおさっさんゆえに、ひとりのおっさんの主人公に共感を感じてしまう。また、僕にも過去に好きだった女性が、今でも僕のことを思い出してくれていたら、やはり嬉しい。
こんな男の勝手な女性への願望が僕にもある。それゆえ「過ぎ去った恋」を選んだ。
 
残念であったのは「マスターの恋」がないこと。
喫茶店が背景となる小説であるから、マスターをメインにしたエピソードが欲しかった。
 

読書感想文
シェアする
のしろいくろー
この記事を書いた人

1965年東京都生まれ、現在東京都在住。
若い時の自分、今の自分では感じ方も変わっている。しかし、容姿は変わり、年を重ねている実感はあるが、人生への情熱はまだまだ衰えることはないと思っている。そんな自分へのこれからの人生の記録としてこのサイトを開設した。

いくろーをフォローする
50歳から始める人生感想文ノート

コメント