著者:芥川龍之介
芥川文学。読書ノートというよりも僕の幼い頃の記憶である。
【読書感想文】蜘蛛の糸
「或る日の事でございます。お釈迦様は極楽の蓮池のふちを、ひとりでぶらぶらとお歩きになっていらっしゃいました。」
芥川龍之介「蜘蛛の糸」の冒頭になる。
僕が小学校前の頃、朗読レコードが家にあった。その中に蜘蛛の糸と杜子春が入っていた。その朗読が、とっても臨場感があって子どもには怖い印象だったことを覚えている。
地獄の底に一本の蜘蛛の糸が、落ちてきて、それを見つけた、一人の罪人が「しめしめ、これを伝って登っていけば、地獄から抜け出せるかも・・・」とせっせと蜘蛛の糸にしがみつきあがっていく。
しかし、下を見下ろすとたくさんの罪人たちがその蜘蛛の糸にしがみついていた。
「なにやってんだ、これは俺の蜘蛛の糸だ。降りろ! 切れるだろう」と叫んだ瞬間。ブッつりと糸が切れる。
お釈迦様の思し召しにより、蜘蛛の糸が垂れてくるわけだけど「自分だけ助かろう」という心を見透かされて、お釈迦様から見放されてしまった。
心の乱れ(煩悩)をお釈迦様は試したんだろうね。
さて、僕はどうだろうか?
災害などで命が危うい、という危機に遭遇してしまったら、
われ先にという行動か。
それとも自分以外の人を優先してからの行動か。
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お釈迦様に試される時がこないことを祈る。
「蜘蛛の糸」まとめ
子ども心に印象に残った作品であるが、この時感じたのはお釈迦様の意図したことではなく「蜘蛛は人を助けてくれるだから殺してはだめ」だった。これがずう~と自分の心の中に残っていて、蜘蛛を粗末に扱ったことがない。子ども心に蜘蛛は神の使者、化身と刷り込まれてしまったのかもしれない。

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